「東山主任もビールでいいですか?」

俺がビールを注ごうとしたら、綾乃さんに潤んだような瞳で見つめられた。

その不意打ちで、俺の心臓は止まるかと思った。

潤んだような瞳。ポッチャリした唇。俺はビール瓶を持ったまま固まった。

心臓はドックンドックンと騒ぎ出し、口から飛び出すんじゃないかと思った。

抱きしめて、キスしたい…

「綾乃ちゃんは、お酒あまり飲めないから、無理に勧めないでね?」

「あ、はい」

それで困って俺を見たのか…

その時が、俺の心が完全に綾乃さんに持って行かれた、瞬間だった。