「葉子、そろそろおっぱいの時間じゃない?」

「あ、そうかも」

「では私は仕事があるので、この辺で…」。

「お父様、今日はわざわざありがとうございました」

「葉子さん、体を大事にな。栞(しおり)をよろしく頼みますよ」

「はい」

吉田のお父様は、忙しい中わざわざ病院まで来てくれた。初孫の栞に会うために。

「亮平君には悪いが、あの方がいると、どうしても緊張するなあ。うちの銀行の一番のお客様だからな。まさか親戚になるとはな…」