「あのね、私、妊娠してるの」

「……………」

「あらあら、お父さん、どうしましょうね?」

「お父さん、何か言って?」

「葉子~、グス。子供だと思ってたおまえが、子供を産む、グス、なんて信じられないよ~、グス」

「あなた、泣かないで? 葉子はもう立派な大人なのよ。母親になってもおかしくないの。遅いくらいよ。認めてあげましょ?」

「でも…」

「でもじゃありません!
あなたはお祖父さんになって、今度は孫に拗ねをかじられるんですから、しっかりしてください!」

「そうだな。もう葉子は私の小さかった娘じゃないんだな…」

「葉子、悪阻はもう始まったの?」

「朝、気持ち悪いの。あと、唾がたくさん出るの…」

「始まってるのね。私も葉子と誠を産む時は大変だったの。葉子は軽いといいのにね?
辛かったら我慢しちゃダメよ。何でもお母さんに言ってね?」

「お母さん、ありがとう…」

私はよい家族に恵まれてるんだって、つくづく実感したの。


(エピローグ1 完)