帰りの車中。

「はぁ…」

「3回目」

「え?」

「姉貴の溜め息。今ので3回目」

気付かずに溜め息が出てたらしい。それは、俊へのやり場のない想いのため。

「本当は、お袋達に何を言われたんだよ?」

「だから、俊が勉強もしないで遊び歩かないように監視しろとか、そういう事だってば」

「嘘くせえなあ…」

こんなやり取りを、俊と何度も繰り返していた。