「俊は、美雪を慕い過ぎてるのよ」

「慕う? 弟が姉を慕うのは当たり前だ。過ぎるもなにもないだろ?」

「いいえ。それが過ぎれば、やがて女性への愛に変わるかもしれないわ。まして血が繋がってないと分かれば、暴走しちゃう恐れがあると思うの。俊も男なんだし」

「馬鹿馬鹿しい。美雪と俊輔は、小さい頃から姉と弟として育ったんだぞ。しかも、歳が四つも離れている。いくら血が繋がってないとは言え、そんな事は有り得ん」

「あなたはいつも釣りやゴルフで家にいないから、分からないのよ」

「それは……」

「あの子が東京の大学を受けたのだって、美雪の傍に行きたかったからだと思うの。
今日の俊の明るさはあなたも見たでしょ? あんなに楽しそうな俊を見たのはずいぶん久しぶりだわ」

「それはまあ、確かにそうだな。いつも無口で、つまらなそうな顔してたからな」


無口? そんな俊、私は知らない。人懐こくて、おしゃべりなのは、私といる時だけなの?

そう思ったら、胸がキューンとなった。