「帰ろうか?」

「え? まだ買い物終わってないんでしょ?」

「そうだけど、後は俺一人でちまちま来るから大丈夫。どうせ大学が始まるまで暇だから」

「そう言えば、大学の入学式ってこれからだもんね?」

「ああ」

「お母さん達は来るの?」

「なんで?」

「俊の入学式に出るのかな?」

「来たいとか言ってるけど、断った」

「どうして?」

「姉貴だって断っただろ?」

私は遠慮したんだった。本心を言えば、来てほしかった。

「私は、もう子供じゃないんだから、親が来る必要はないと思ったの」

「俺も同じだよ」

「でも、お母さん達は来たいんだから、来てもらえばいいじゃない?」