会社の小林さんだった。

「あれ? 美雪?」

会社で小林さんは私を名前で呼ぶ。普段は気にしてないけど、今はとても嫌だった。

「買い物、だよな?」

「うん。小林さんも?」

「ああ。CDとかをちょっとね」


『笠井さんが言ってた彼氏?』

俊が私の耳元で囁いた。

『う、うん』

「姉貴、付き合ってくれてサンキューでした。後は一人で大丈夫だから、じゃあ」

俊は私から買い物の袋を取り上げ、背中を向けて歩いて行ってしまった。