それから私は、実の娘と、実の姉を演じ続けた。

育ててくれる両親の恩に報いたくて、必死に『良い娘』であろうとした。心のどこかで、捨てられたくない、という強迫観念もあったと思う。

でも、俊を弟と思い続ける事は出来なかった。
いつしか俊は、私の中で『弟』を超えてしまっていた。

はっきりと俊への気持ちに気付いたのは、私が高3の時だった。

俊が初めてガールフレンドを家に連れて来た日。

私はその女の子が、どうしようもなく憎かった。
俊がその子に触るシーンを想像すると、胸が掻きむしられるようだった。

俊には、私以外の女の子に触れてほしくない。
俊が触れていいのは私だけ。
俊に触れてほしい。俊に抱きしめられたい…