「ううん、それはない!」

私はぶんぶんと首を振った。
ここは強く否定しておくところよね?

「お店を出たところで、たまたま通り掛かった神崎さんに会って、助けだされたの」

神崎さんの変装の事は黙っていよう。ややこしいし、そもそも記憶がないしね。

「たまたま?」

「そうだよ。彼がそう言ったんだもん」

「嘘臭いけど、それで? 神崎さんに送ってもらったの?」

「ううん、彼のマンションに…」

「え〜!? お泊りですか!? いきなりですか!?」

「ちょ、恵美ちゃん、声大きいよ〜」