紙袋の中では、ピンクのブラとショーツが一番上に乗っていた。

それって、絶対嫌味よね?
やっぱり香織ちゃん、いい子なんかじゃない!

ところで、ピンクって、神崎さんが指定したの?
気になるけど、聞けないよねえ。

「サンキューな」

「どうもありがとう」

神崎さんと二人で赤い顔してお礼を言った。

「春だからって、ブラウス一枚じゃ寒いんじゃない?」

「車で送るから大丈夫だ」

「………アタシ、もう行くね」

小声で『やってらんない』って言ったのを私は聞き逃さなかった。

「おお。これから彼氏とデートか?」

「彼氏なんかいないもん!」

肩をいからせて去っていく香織ちゃんの後ろ姿に胸がチクッとした。

神崎征一は、救いようのない鈍感男だ。