征一さんは私の手と足のロープを解き、スーツの上着を掛けてくれた。

「うえ〜ん、恐かったよお」

私は征一さんの胸にすがり、子供のように泣いた。


「くそ〜! なぜここが分かったんだ?」

水野君は気絶してなかったらしい。

「明美ちゃんから聞いたのよ」

「恵美ちゃん!」

「裕子、大丈夫? ひどい目に合っちゃったね?」

恵美ちゃんは優しく頭を撫でてくれた。

「松野のおかげで、間に合ったよ。松野の機敏な判断と行動のおかげだ。一生感謝するよ。ありがとう」

「恵美ちゃん、ありがとう」

「いいのよ。私も明美ちゃんがラブホ街を歩いてた相手が水野君だと気付いた時点で、何か行動するべきだったの。ごめんなさい」

「ううん、そんな事、気にしないで?」

「水野君、あなたはただのパソコンオタクね?」

「なんだと?」

「あなた、明美ちゃんをここに連れ込んだ事あるでしょ?

利用するだけ利用して、捨てられた明美ちゃんは、進んでこの隠れ家を教えてくれたわ。

あなたみたいなマヌケには、こういう犯罪は向かないわね。二度とやっちゃだめよ。

せっかくの能力なんだから、正しい事に使いなさいよね!」

「うわ〜ん、分かったよ。もうしないよ〜」

す、すごい。水野君を改心させちゃったの?
恵美ちゃんが最強かもしれない…