目覚めると、隣には愛しい人の寝顔。
征一さんは寝顔まで凛々しいのね。私はこの人と結ばれたんだよね?

昨夜の事は夢のようだけど、全身のだるさが現実だった証(あかし)。

征一さんの高い鼻をキュッと指で摘んでみる。起きる気配はない。

薄く髭が生えた顎の線をそっとなぞる。まだ起きない。

指で薄い唇に触れる。私はこの唇に何度翻弄されたろうか?
『生意気な唇』

静かに上半身を起こし、その唇にそっとキスを落とし、目をつぶる。
彼の温かい唇から、幸せが私に注ぎ込まれるよう………

唇を離し、目を開いたら、征一さんと目が合った。

「朝から積極的だな、西野裕子」

「起きてたの?」

「ああ」

「いつから?」

「裕子が起きる少し前」

「寝たふりしたのね、意地悪!」

「夕べの続き、するか?」

「な…、ダメ!」

「その格好にそそられるんだ」

「きゃっ」

私は慌てて毛布で胸を隠した。

「エッチ!」

「おまえもだろ?」