「名前は? 歳は?」

「神崎征一さん。28歳」

「4つ上か…。ん? 神崎って、字は?」

「神様の神に川崎の崎、だけど?」

「ふ〜ん、大学に同じみよじの奴がいるんだよ」

匠は名門の私大に通っている。馬鹿そうに見えるけど、昔から学校の成績は良かった。

ちなみに私は学費の安い国立大出身。親孝行でしょ?

「男の子?」

「いや、女。金持ちで小生意気な娘で、香織っていうんだ」

「香織、ちゃん…? 征一さんのマンションで同じ名前の子に会ったよ」

「え?」

「征一さんの従兄妹で、征一さんのこと『征ちゃん』って呼んでた」

「従兄妹…、征ちゃん…。おい、そいつは御曹子だぞ!」