「優しい嘘?」

「あくまで私の推理だから、百パーセントこれが正しいとは言わないわ。でも、神崎さんのいくつかの不可解な言動から、自然とひとつの答えに行き着いたの」

恵美ちゃんは勘が鋭くて、ここって所で適切なアドバイスをくれるから、恵美ちゃんの言う事はいつも信じてる。

私はゴクッと唾を飲み込んだ。

「そもそも、神崎さんは『嘘は嫌いだ』って言ったんだよね?」

「うん。私達が初めて話した日。彼氏はいないって私が言った時、言われたの。匠の事を誤解してたから」

「もし青島部長の話が出まかせだったとしたら、自分が嘘をついた直後に言った事になるよね?」

「うん」

「それって、最低最悪な嘘つき男って事にならない?」

「……………」

「裕子は神崎さんがそんな男だと思ってる?」

「ううん、思いたくない」

「私はまだ彼をよくは知らないけど、そんな不誠実な人にはどうしても見えない」

「……………」