その夜、私と恵美ちゃんは、ファーストフードで軽くお腹を満たした後、時々行くバーに来ていた。

カウンター席に並んで座り、恵美ちゃんはカクテル、私は赤ワインを飲んでいる。

「裕子はほんとに赤ワイン好きだよねえ。今夜は飲み過ぎちゃダメだからね」

「は〜い」

「うふ、可愛い」

そう言って恵美ちゃんは、私の頭を撫でた。

「恵美ちゃん、くすぐったいよ〜」

「こんな可愛い子は、神崎さんの前に、私が食べちゃいたいな」

「ちょ、恵美ちゃん、もう酔ったの?」

「そんなわけ、ないじゃん。まだ一杯目よ」

「今夜の恵美ちゃん、なんか変…」

ファーストフード店での恵美ちゃんは、とても無口だった。
いつもはどんどん話し掛けてくれるのに、ぼーっと何かを考えているようだった。

「裕子、私すごく悩んでるの」

「何かあったの?

「神崎さんの不可解な言動によ。ううん、その答えが分かっちゃったことによ」