「触らなかったでしょうね?」

「触るもなにも、おまえが抱き着いて来るから大変だったんだぞ。酒臭くて」

「うそ。ごめんなさい」

「いいから、早く来い。体冷えるぞ」

「うん」

征一さんが少しずれてくれて、その隣に体を横たえた。

心臓が、有り得ないほどドキドキする。
私が天井の一点を見上げ、固まっていると、その視界を征一さんの顔が塞いだ。

「さっきの続き、しような?」

私がこくんと頷くと、唇を優しく奪われた。さっきの激しかったのとは違う、触れるだけのキス。

征一さんの手は、私の首筋を滑るようになぞっていき、やがて胸へと辿り、包み込むように乳房を揉まれた。ブラは着けなかったから、容易に乳首を探られ、指で摘まれ、弄ばれた。

それがとても気持ちよく、刺激的で、思わず甘い吐息が口から漏れる。

征一さんの唇は、私の唇から離れて首筋へと移った。くすぐったいような、ゾクゾクとした快感が走る。そして…

彼は動かなくなった。唇も、いやらしかった指も、何もかも。

やがて、スースーと、規則正しい寝息が聞こえてきた。


ひとり取り残された私は、その後なかなか眠れなかった。

やっぱりビール、飲めばよかったな。