「探し求めた敵-1」






あの火事から数日。


身を挺して助けた事は
でかく取り上げられ、

このさほど
大きくない町では、
トップニュースとなり、

一躍九古は
スーパーヒーローと
なった。










表彰も特に喜ばず
いつもの
無表情のままで受け、

今日はそれで
1日が
終わろうとしていた。









(……週末か…

油断しての
出火もあるから
休憩室で待機だな)









またアパートに
帰らない九古は、
コンビニにでも
夕食だけ買いに行こうと
歩き出した。








すると不意に…



ガッ!








太い手が
九古の腕を掴んだ。









パッと振り返ると、
そこには西沢先輩がいた








「先輩…?
どうしたんですか?」









すると、
西沢はニタニタしながら
九古の腕を
離そうとしない。









「フッフッフ…

キュー!
今から合コン行くぞ!」










「はぁ?」









相手は先輩だが、
思わずそんな言葉が
自然と出てしまった。







あまりに急な事を
言うからであろう。









「…何言ってるんですか

俺は行きませんので
申し訳ないですが…」









それを言い切る前に
西沢は強引に手を引いた









「ダァメだ!
人数足りないんだから!

3:3って
言われてるんだからな!

さあレッツラゴー!!」









「ちょっ……!!」









有無を言わさず、
九古はそのまま西沢に
拉致されてしまった