レス―Q

【消防の心得-12】





「ただいま…
父さん母さん…

今日も火災は
なかったよ…」






九古は
部屋に入るなり、

その絵に向かって
喋り始めた。







そう一言だけ
喋るだけで、

後は特に何も口にしない






これは両親を亡くした
九古の
帰りの挨拶なのである







毎回こうして
両親に向かい
報告をするが、

この
どこか寂しげな絵。


これは九古の
小さな頃の
悲痛な想いが
詰まっている絵だ。







なぜ両親の写真ではなく
絵なのだろうか?







それは15年以上前に
起こった
ある事件が、
九古の人生の
全てを狂わせていた…