レス―Q

【消防の心得-11】





それから
数十分もすれば
アパートに辿り着く。





わざわざ
歩いて帰るのも、

火の用心として
住宅街を見回りながら
帰る為である。






まさに徹底した
火災嫌いぶり。






一体何が
彼をそうさせるの
だろうか?







ガチャ…







アパートに戻り、
静けさが漂う
部屋に入る。






当然だ。

部屋には誰も
いないのだから。






九古の部屋は
ベットが一つ
緊急通信ラジオが一つ
冷蔵庫が一つ

それ以外は
何もない。







これは、
引っ越したばかり
だからと言う
理由ではない。






彼の部屋は元々
こんなもの。






テレビもなければ
漫画も雑誌も、
その他娯楽品は
何もなかった。






ただ
そんな質素な部屋で
一番目立つものは
一枚の絵。






大切に額縁の中に
入ってる
子供が書いたような
ヘタクソな絵が、

何もない部屋の壁に
かけられており、

ひときわ目立って
いるのが見えた