「悪魔の誘い―1」








その日1日。





どこへ行っても、
九古は目立っていた。









雑誌を見た者は
ヒソヒソと話したり、

指をさしたりしており、
まるで珍獣扱いだ。










時折『化け物』
と言う言葉も
チラッと聞こえ、

街行く人の目が
白く感じた。










「………」










九古は
それでも気にしない。









いや……

これは
『逆に気にしなければ
ならないのかもしれない』









普通どんな人も、
そこまで言われれば
傷つくなり何なりするが…










九古は違った。







それはもう…

心と言う物が、
壊れてるからかもしれない。










小さい頃両親を失った
悲しみ。









それと、
この肌でいじめられた
数々の経験。










それが合わさり、
怒りさえも
何もない感情は、
人としてヤバい状態と
言えるであろう