本当は走り出したいところだけど、下手に彼らを刺激しない方が良いと思い、前を見てひたすら歩き続けた。

10メートルほど歩いた所で、二人の少年が私を抜き、前方に立ち塞がった。

「お姉さん、歩くの速いね」

髪を金色に染めた少年が、ニヤニヤしながら話し掛けて来た。
背は高いけど、顔にあどけなさがあり、明らかにまだ高校生ぐらいの年頃だ。

もう一人の茶髪の少年は小柄で、背は私と同じくらいしかない。

「コイツがお姉さんに一目惚れしたらしいんだ。話を聞いてやってよ」

何をふざけた事を…!

私が金髪の少年の横を無言で擦り抜けようとしたら、少年が横に動いて行く手を阻まれた。

「トシヤ、告れよ」

「ボクと付き合ってください。お願いします!」

トシヤと呼ばれた小柄で茶髪の少年が、私に右手を差し出し、頭を下げていた。