「タオルと着替えを出しておくからね。あ、それと、確かこの袋だったよね…」

私は買い物の袋に手を入れ、ガサゴソやって、翔の歯ブラシとコップを取り出した。

「はい、これを使って?」

「おお、サンキュー。もしかして、これみんな俺に買ってくれたのか?」

「え? ん…まあね」

「そっか。ありがとうな」

「きゃっ」

翔にぎゅうっと抱きしめられた。

「ちょっと…。コップ落としちゃうから…」

「嬉しいよ。また来ていいって事だろ?」

「そういう意味じゃ…」

「だめなのか?」

翔は私の肩をグッと掴み、真剣な目をして聞いた。

「別にいいけど…」

私が目を逸らしてそう言ったら、またぎゅっとされた。

「よかった…」

「翔…」

「シャワー浴びて来る」

翔はパッと私を放し、歯ブラシとコップを持って、さっさと浴室へ行ってしまった。