「にゃあ」
子猫は立ち止まり、そこで鳴いた。そこには小さな扉があった。ここに何かがあるのか? 子猫はその扉を、小さな手で必死に引っ掻いていた。
「ここに何かがあるんだね?」
「そう言ってるみたい」
いつの間にか真鈴が僕の真後ろに来ていた。僕は扉を開けた。子猫はすぐに、その隙間から中へと入り込んでいった。
そこは物置らしき部屋だった。中にはいろんなガラクタが溢れている。だけど暗闇の中では、そこに何があるのかは判別できない。
だけど、あった。それだけは、どんな場所にあっても何なのかすぐに判るものが。子猫はそれに必死で触れている。その度に居心地良い音がする。
そこにはギターがあった。