心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「帰ろう。お母さんと一緒に」


「いや。お父さん……」


「愛花……」


「返して。誰かお父さん、生き返らせてよ!」


「愛花! 無理言わないの」


廊下中に、愛花の悲痛な叫び声が響く。


「愛花、帰るの。お母さんと一緒に、帰るの」


「いや。ずっとここにいる!」


愛花は、俺の肩に顔をうずめた。


「もう、ヤダ。私も、お父さんとこ行く……」


「バカ言わないで!」


愛花の母親は涙を流しながら、怒っていた。


「愛花、帰ろう」


俺は愛花に、そう言った。


「もう、帰るとこなんてない」