【愛花サイド】


バンッ!


テーブルをたたく音がする。


「うるさい! 俺だって、毎日考えてるんだ」


「だったら早く答えを出してよ! このままじゃ、どんどん生活が厳しくなるだけでしょ」


そっとリビングをのぞくと、目に入るのはやっぱりケンカをしている親。


私は、そのままカチャンとドアを閉めた。


「お姉ちゃん」


心葉が私の洋服の裾を、きゅっと握る。


「どうして、お父さんとお母さんはケンカしてるの?」


私の顔を見て、心葉がそう聞いてきた。その目には涙がたまっている。


私は、何て答えればいいんだろう?


「ねぇ、どうして?」


「ごめんね、心葉」