「じゃ、教室戻ります」


そう言って、立ち上がった。


「石川、ちょっと」


先生が私を呼んだ。


「何ですか?」


そばに行くと、先生は急に真面目な顔になる。


「似合わない」


私はケラケラ笑った。


「バカ。俺だって、真面目な顔くらいする」


「そうだよね。これでも一応、先生だもんね」


「ほんと、お前としゃべってると調子狂う」


先生は手で顔を覆った。


「それってほめ言葉?」


「石川、マジで真面目な話」


「何?」