【愛花サイド】


「石川、そろそろ教室戻れよ~」


「えー、今から数学だからヤダ」


「石川~」


そう言って、佐野先生は頭を抱えた。


私、石川愛花。高校3年生の17歳。


“あいか”ってね、愛の花が咲きますようにって、親がつけてくれた名前なの。


「石川、単位落とすぞ」


「どうせ授業出たって、わかんないもん」


今は昼休み。


私はいつも、保健室に入り浸びたっている。


私の学校の保健室の先生は、男。


佐野裕介先生、24歳。


この先生には、実は、秘密がある。


それを知ったのは、つい最近のことなんだけど。