「──聞いてねぇぞ!!」

 私も聞いてないよ。

「だから、今言ったではないか。
 大事な話をする、と」

 大事なって、そういう事はもっと順を追って……。

「旦那様、ご冗談にも度が過ぎます」

「俺は、何時だって本気だけど?
 それに、柚希君とは、もう契約済みのはずだよ」

 あっ!!
 あの時『契約成立』って言ってた?

 何も答えられず、黙って下を向くことしか出来なかった。

「三浦?」

 結城が心配そうに声をかけてきてくれた。

 ありがと。
 いまは旨く笑えないや。

「こんな、セクハラ親父の言う事なんかマトモに聞くな。
 行くぞ!!」

 あたしの腕を強引に引っ張り、書斎から飛び出した。