「それじゃ、あたしは」

「明日、待ってるよ」

蒼くんの言葉には応えず、曖昧に笑みを返した。

今、この場にいることが間違いだったんだよね?

──廉くんの、バーカ。

家に帰る気にもなれず、何処に行く当てもないまま、

転がっていた石ころを蹴飛ばしながら、
ふらり、と足を向けた。


何処をどう歩いてきたのかは覚えていない。

オレンジ色に反射した建物が目の前に飛び込んできた。

──学校?

人気はなく静まり返っているが、ドッシリとして、まるであたしを呼んでいるようだった。

見えない何かに誘われるように校舎に入った。

懐かしいな。

まだ、あるかな?

薄れた記憶を辿るように一つの場所にまっすぐと向かった。