【短編集】フルーツ★バスケット


 あたしも、彼らと一緒にステージに上がりたいな……。

 ふっ、と踊りながら頭に過った小さな願望。

 そんなこと、叶えられるわけもない。

 だって、彼らにとっては、最前列だろうが、一番後ろの立ち位置だろうが、同じファンの一人に過ぎないもの。

 それに、今ステージの上で光を浴びているメンバー誰一人として、知り合いなんかでもないし。

 こんなに近くにいるのに。

 あたしにとっては、雲の上の遠い人達って事を、改めて思い知らされた。

 ずっと楽しみにしていて、来年大学受験をするためのパワーを付ける為に、此処へ来たのに

 急に虚無感に襲われて、音もリズムも感じられなくなった。

 振り上げていた手が

 パタン、と下がり、隣の人も不審そうに

 チラッ、と横目で見てきた。

 あたし、踊りに、来たんだよね?

 自分に問いかけ、皆と同じリズムを取り戻そうと思って腕を上げようとした。

 だけど、身体が動かない。

 ううん、動かせない。