そんな事よりも、この目の前にいる物体を早く取っ捕まえなくては。

 もう、他の事には目もくれない祐希であった。

「フフフッ。
 スイカのくせに俺から逃げ回るなんて、100年早ぇんだよ」

 ジリジリ、と詰め寄り手近に落ちていた木の棒を振りかざした。

 スイカもどき割りを始めた祐希。


『スイカなんかと一緒にしないでぇぇぇぇ!!』

 それ察した不思議な物体も、檻から飛び出し、今度は転がり始めた。

 砂に足を取られ、思うように動けないものの、執念だけで追いかけている。


 コロコロ
 コロコロ

 転がるスイカちゃんは、涼しげな海の中を泳ぎ始めた。

 祐希も負けずと、着ていたTシャツを脱ぎ捨て、追いかけた。

 果たして、いつまで追いかけっこは続くものなのか。