楕円形の大きな丸い物の上に藺草(いぐさ)が敷き詰められ

 ガッチリ、と太い木の枠に囲まれていた。

『取り扱い注意!!』

 一番上に被せてある蓋に、ご丁寧に太いマジックで書かれている。


「ほ、ホントに珍しいものが扱われているお店ねぇ
 ホホホホ」

 ギョッ、としながらも笑顔で返すオバチャン。


「ウフフ
 実は、スイカなんですよ。 
 ちょっとイビツだったもので遊んじゃいました」

「あぁ、ビックリしたよ。
 ホント、古代からやって来たのかと思ったよ」

「驚かせてごめんなさい。
 今日のイチオシは、トマトとゴーヤです」

「それじゃ、トマトをもらうよ」

「ありがとうございます」

 農家の人が、丹誠込めた物に味と品質を求める彼女にとって、形が変わっている物程喜んだ。

 その方が客受けをするからである。

 顔に似合わず、イタズラ好き。

 そう、これが彼女の名物ってわけ。

 しかし、

 葉子は知らなかった。

 このスイカがラグビー型をしていた、本当の意味を。