「ずっと、あたしを守ってくれる?」
「あぁ。
約束する」
ずっと、なんて言葉は気休めでしかない。
それでも、小さな優しさが嬉しかった。
あたしを普通の女の子として、認めてくれるの?
それとも、貴方は誰にでも優しくしているだけ?
深く問い詰めるのは、止めよう。
自分が傷つくだけなのだから。
あたしには、両親がいない。
幼い頃天国へ行ったって聞かされてきたけど、本当の事は知らない。
だって、写真すら無いんだもの。
生きるという意味では、不自由はしていなかった。
外出する時は、着るものを与えてもらっていたし、3食おやつも規則正しく用意されてた。
ただ、それ以外は何もない。
意見を言う事も、自由も、何も。
ただ、渡されたマニュアルに従うだけ。
あたしは、商品となって世の男達に貢献してきた。
勿論、無償。
だから、サンプル。
別に嫌じゃなかった。
みんな、笑顔をくれたから。
それが当たり前に感じてた。
だけど、違った。
あたしだけが、間違った生き方をしていた事に気が付いたんだ。
だって、聞いちゃったんだもの。
『倫子ちゃんが、何も知らない娘で良かったよ。
お陰で、俺たちは裕福な暮らしが出来るんだからな』
……何?
あたしのお陰で裕福?
どういう事?