時間にして、ものの数分だったと思う。

真剣な眼差しで見詰められて、
手際よくあたしの顔に優しく筆やブラシを動かしていた。


「出来たぜ」

手鏡を渡され、初めて自分の変わった姿を瞳にした。

これ……

「あたし?」

「文句あるか!?」

無いです。
まだ、信じられない。

普段している化粧とは全然違う。

まるで、雑誌のトップに飾られる芸能人とか、モデルさんのように映っている。


「あの……、
 どういう目的?
 何の約束?」

「……質問の多い奴だな」

それ以上何を言うわけでもなく、黙ったままあたしの手を引いたままこの家を後にした。