あたしは君を追い掛けるよ。

 どれだけキツくても、遠くても…

 君だけを追い掛ける。










 見慣れた背中を見て、走る速度を上げる。

 風に揺れる黒髪。

 スマートな身体。

 んー、今日もカッコいい!


「優介、おはよう!」

「樫崎…おはよ」

「一緒行こー」

「…まあ、いいけど…」


 嫌っそーな空気を無視して隣を歩く。


――樫崎 礼央(カシザキ レオ)

 水泳部所属の高2。

 これでも結構速いほう。

 んでもってこの人はあたしの好きな人!


――矢嶋 優介(ヤジマ ユウスケ)

 弓道部所属のクラスメート。

 めっちゃカッコよくて、ただ今猛烈アタック中!

 なかなかなびかないから長期戦なんだけどねー。


「今日は何手してきたの?」

「いつも通り」

「ふーん」


 目の前にそびえ立つ扉。

 あーあ、もう着いちゃった。

 さりげなくドアを開ける優介。

 優しい優しい、カッコいい!

 優介が入ったらまだ賑やかだったけど、あたしが入った途端に静かになる。