プライド

サイモンから電話が掛かってきたの、はそれから約2ヶ月後の夜だった。


「もう一度夢を追いかける」とサイモンは言った。「ミルウォールが俺に興味を持ってくれて今日契約してきたんだ。ディヴィジョン1だし大幅にサラリーも下がるけどそこからまた這い上がっていこうと思う」


「そうか。オレも必死で応援する。オレにできることがあったら何でも言ってくれ」


「ああ、ありがとう。目指すはプレミア昇格と代表入りだ」
 
サイモンは力強くそう言った。


「そうだな」


「きっと険しい道のりになると思う。これまで以上に頑張らなければならない。だから酒も当分やめようと思うんだ。最後の酒に付き合ってくれるか?」


「もちろん、よろこんで」


「その次に酒を飲むのは代表入りしたときか、あるいは引退したときだ」
 

サイモンは静かに、そして力強く決意を語った。