01、考える 「同棲しよっか」 その時、外はまだ薄暗くて、小さく開いた窓からはカラスの鳴き声が聞こえてきた。 狭い玄関でスニーカーを履く背中が、突然そんなことを言う。 驚いた。 呆然とその場に立ち尽くす。何も言葉が出てこなかった。 「良いよ」でも「いや」でもない。 だってそんなの、考えてもいなかったから。