何も言わないから、固まったまま微動だにもしないから、不安になる。





「可愛?」




 
「…嫌……。知哉…ちゃ」





 可愛の見つめる先には、玄関から出てくる2つの影。



 阿山と…俺と同じクラスの女子。





「亜々人、私たち……付き合おうか」




 
 嘘の作り物の笑顔でも、もう良いや。





「うん」




 嘘でも良い。


 君が欲しい。



 君が足りない。







 ごめんな