俺の顔には見向きもしない。



 近づいてくる女子達は大体俺の顔目当てだ。



 後ろから駆け寄った知哉ちゃんこと、阿山(アヤマ)知哉。






「すんませーん、こいつ極度の指フェチ、声フェチで」


 



 そう爽やかな笑顔で言って阿山は可愛を後ろから脇に両腕を突っ込んで抱き上げた。






 いかにもチャラそうで、モテそうで、色んな奴から人気そうな男。


 だから阿山が可愛と一緒に居るのに違和感を感じた。







 入学してからも、阿山の噂は度々聞いた。
 



 カッコイイだとか、意外に優しいだとか……可愛が好きだとか。


 
 

 きっと気づいてないのは可愛本人だけだろうな、と2人を見ていて思う。




 ホッとする気持ちと、阿山に同情する気持ちが入り混じった感情が溢れて自分でも何でこんな気持ちになるのか疑問だった。