工房の時計が、午前10時を示す。

本日も自動人形工房・メイドールファクトリーの開店だ。

店の入り口にかけられている『closed』になっている木の札を『open』に引っくり返し、準備完了…した所で。

「ん?」

「あ…」

僕は店の前に立っている少年と目が合った。

年の頃13か14か。

年齢からいうと中学生だろう。

その証拠に天空宮学園中等部の制服を着ている。

あの左胸の紋章は、工学科のものだな。

僕が在籍していたのは天空宮学園の魔法科錬金クラスだったので、あまり工学科には詳しくないけど、確か機械動力の構造や組み立てなんかを学ぶ学科だったと思う。