春うララ~時代劇編~

【小春ー15】


「先輩…これなんです?」





一枚の紙を
ヒラヒラさせて
小春はララに聞いた。





「ああ…
それ歌舞伎の
芝居チケットよ」





そう言うが
小春は全く興味を
示さなかった。





「ふ~ん
そうなんですか」





そんな様子にララは
つっこみを入れた。





「春~~
あんたってホント
趣味ない子ね~

可愛げのない子は
嫁のもらい手がないわよ」





「な!

そんな事
関係ないじゃないですか!」




「いーやあるわよ。
あんた
三味線も琴も興味ないし

着物も綺麗なものないし

踊りも
ヘッタクソでしょ?

こりゃ
女としてヤバいわね~」





う…

的を得ている…






正しい事を言われ過ぎて
逆に春は反論した。





「そんな事ないです!
私にだって趣味くらい
あります!」






それは初耳だ。






「じゃあ
言ってごらんよ。

大食いは
趣味には入らないからね」






~~~!!!!



キ~~~~!!!!!!




悔しい!
悔しい!!
悔しい!!!






見てろう!!

凄い事言って
ギャフンと
言わせてやる!






え~~っと
自分の趣味は…







…………






…………あれ?






本当に考えたら
何も浮かばない事に
気付いた。






「う…ぐ…」






ゴモゴモしてると、
ララは
やっぱりと言った感じで
手を上げた。






「ふう…

ほーら出てこない。
そのチンチクリンさを
生かして、
泥棒にでもなったら?

背が小さくて
見つからないわよ」





「ヒドイ!!」





趣味のない平凡女は、

わあっと泣きながら
長屋を飛び出した