【小春ー1】





トン………

テンカンカン……







屋根瓦をトントンと
音が響き、

真っ青な空には
子供達が上げた凧が
宙を泳いでいる。







それに合わせて
羽子板の玉も、

グルグルと
飛びかっていた。







本日は快晴。







気持ちのいい朝だ。







「う~~~~」







それを見上げながら
体を伸ばしている
女性がいた。








「うっしゃ!
今日もいい天気ね!!」







ボロ長屋の前で
女性はパンパンと
顔を叩いている。







今日は
おめでたい元旦の日…


城下町は
お祭り騒ぎである。






「あーら春どうしたの
こんな早くから」







障子をガラリと開け
別の女性が外に出てきた







すると、
春と呼ばれた女性は
ハアっとため息を吐く。








「ララ先輩!!
お・し・ょ・う・が・つ

今日はお正月ですよ!」







春はえらく力説している







一方
あくびを
めい一杯している
ララと呼ばてた女性は

首をポリポリと掻いた。







「ああ…ふうん…
そう…?

良かったわねえ~」






どうやらあまり
正月に対して興味が
ないらしい。







そんなララを見て春は…







「ほら!!
シャキッとしてください

いいから
出かけましょう!!」







それに対して
ララは反対のようだ。







「いやよ。

正月こそ
ゴロゴロダラダラよ。

これこそが日本人の粋よ」







絶対違うと思う…








春は心からそう思った