一足早く家の中にはいった彼はリビングにわたしを通した。


 ソファに座ったわたしに彼は声をかける。


「荷物を置いてきていい?」


「いいですよ」


 先輩は部屋を出ていき一人で取り残されてしまった。


 この前は先輩も愛理もいた家の中に一人でいることが不思議でただぼうっと辺りを眺めていた。


 この場所で先輩も愛理も子供の時から過ごしてきたんだろうか。


 少し経過すると、白いシャツを着た先輩がもどってくる。先輩は何を着ていてもよく似合うと思う。


 彼は流し台に行くとお茶の準備をして戻ってきた。カップを並べると、わたしの正面に座る。


 カップに手を伸ばし、口をつける。


 先輩が綺麗なのはその姿形だけじゃない。


 行動の一つずつが洗練されている気がした。


 彼をじっと見ていたことに気づき、カップに唇を寄せる。