「そんなつもりじゃないの。また今度でもいいよ」


 宮脇先輩は慌てたようにそう付け加える。


「咲はミルフィーユが好きなんだよね。第二希望は何?」


「ロールケーキかな」


 反射的に答えると、愛理がニッと笑みを浮かべる。


「今日、用事はある?」


「ないけど」


「じゃあ、家で待っていて。家まではお兄ちゃんが送ってくれるから」


 依田先輩は戸惑った様子もなく、妹の言葉を苦笑いを浮かべながら聞いていた。


「じゃ、あとで」


 宮脇先輩は少し戸惑ったような表情を浮かべながらも、愛理と一緒に目の前の信号を渡っていた。



「大丈夫だった?」


 二人が半分ほど信号を渡ったとき、依田先輩がわたしの隣に立つ。