「バイバイ」
笑顔でそう告げた真由に別れを告げ、家への道を帰る。あの後、真由からそのときの話を聞かれることは一度もなかった。
隣を歩いている愛理を見る。
彼女はその話に触れようとせずに世間話をしていた。わたしはそんな彼女の会話に相槌を打つ。
愛理は思い出したように辺りを見渡す。そしてコンビニに目くばせすると、私に問いかけた。
「ちょっと買い物してきていい?」
わたしがいいというと、彼女は待っていてと言い残し、中にはいっていく。
私は息を吐いた。
そのとき、わたしの足元に薄い影が届き、顔を上げると今日昼間見た二人の姿を見つけたのだ。
「今帰り? 愛理は?」
「買い物があるらしくて」
わたしはお店を指さした。
だが、宮脇先輩はわたしをじっと見つめている。
嫌な感じはしなかったが、そうじっと見つめられると恥ずかしく顔をあげられなくなる。



