一階に着いたとき、見慣れた姿を見つけた。


 わたしが理由を聞く前に真由が駆け寄ってきて、わたしの腕をつかむ。


「咲。どうかしたの?」


「どうして?」


「真由が待っているって言い出して聞かなかったの」


 その言葉に真由は笑顔でうなずく。


「何かあった?」


「なんでもない」


 そんなことに動揺したり、悲しくなるのはいい加減卒業しないといけない。


 そう自分に言い聞かせた。


「誕生日が嫌だったら言ってね。無理強いはしないから」


「え?」


「さっきの話の続きだと思う」


 愛理の口添えで真由の言葉の意味を理解する。