「愛理がですか?」


「そう」


 西原先輩に言われたことを思い出す。


「愛理は結構難しいところもあるから、今まで友達らしい友達ってあまりできたことなかったから、高校で親しい友達ができたみたいでよかったよ」


「でも誰にでも話せるし、顔見知りも多いみたいだし」


「顔見知りは多いんだけどね。今までは佳織くらいしか友達がいなかったから」


 そうなんだろうか。彼女は誰とも同じように話す。


 だが、その自分の気持ちの中に答えがあるのに気付いた。


「君さえよかったら愛理が困っていたときに力になってやってほしいんだ。男兄弟だといろいろ難しいところもあると思うから」


「分かりました」


 そのときに愛理がわたしを頼りにしてくれるかは分からないが、そうしてくれるならその気持ちにこたえたいと思っていたのだ。


 わたしが再びケーキにフォークを入れたとき、あきっぱなしのリビングの扉から愛理が顔を覗かせる。