「後は賢に送ってもらえばいいよ。俺は帰るよ」


 西原先輩はわざと依田先輩を呼び、それに依田先輩も気付いていた。


「また明日」


 彼は私と先輩に笑顔でつげ、背を向けると、振り返ることもせずに帰っていく。


「俺達も帰ろうか」


 その言葉が恥ずかしくなり、思わず顔を伏せる。


「ケーキとか好き?」



 想像していなかった言葉に依田先輩を見ると、彼はからっとした笑顔を浮かべる。


「時間があるなら家に来ない? 今、家にいっぱいあってさ」


「先輩の家?」


 彼が頷くのを確認し、迷いながらも素直な気持ちを口にする。


「行きたいです」