「それを聞いて安心した。きっとあの二人は君のことが大好きだと思うよ」


「大好きってそんな」


「二人共よく俺に君の話をしてくるんだよね」


「そんな話をしているんですか?」


 彼は私の言葉に頷く。


「ごめんなさい」


「いいよ。俺は人の話をそういう話を聞くのは嫌いじゃないんだ。一人っ子で母親からいろんな話を聞かされていたからかもしれない。安岡もここにきて、君や賢の妹と友達になれて楽しいと言っていたよ」


 少し湿気のある風が私の涙をぬぐっていき、体をほんのりとあたたかくさせた。


 誰かに期待したり、癒されたり、そんな気持ちはできるだけ持たないようにしていた。そのときの気持ちを思い出す。


 そう思った最初のきっかけは私の親しい友達が私のことを影で悪く言っているのを知ったとき。


「話ならいつでも聞くよ。俺も賢もね」


 そのとき西原先輩の視線が泳ぎ、ずっと先を見つめる。先輩が目を細めたのを確認し、私もその方角を何気なく見る。