彼女たちと目が合い、わたしは体をびくりと震わせた。


 一人が口角をあげて微笑み、わたしの傍まで寄ってくる。


 肩をすぼめ、唇を軽く噛む。


「前原さんは卓球なんだね」


 彼女たちは顔を見合わせて笑う。だが、その笑いは過去の断片を蘇らせる。


 わたしは無言でうなずいた。



 彼女たちは西原先輩と一緒に帰った日、わたしのことをとやかく言っていた人たちだったのだ。


「可愛いって得だよね。大人しくしていれば男がかまってくれるんだもの」


 二人は不服そうに品定めをするような目でわたしを見る。


「否定しないんだ。自分で自分を可愛いとでも思っているの?」


「思ってません」


「嘘。思っているんじゃないの? そんな顔してるもん」


 自分の顔が好きなど殆どの人は思わないだろう。わたしも自分の顔は好きではなかった。だが、否定してもしなくても彼女たちの考えがすべてなのだ。